やがて春が来るまでの、僕らの話。



「ハナエ、むっちたちとお弁当食べたいんだって」

「誰もそんなこと言ってない!」

「でも行きたかったんでしょ!?ほんとはむっちに誘われて嬉しかったんでしょ!?体育の時間だって楽しそうに喋ってたもんね!」



ちょっと待ってよ。

なに、その言い方。

そんなことで怒ってるの?


「……だって私、転校してきてまだ陽菜たちしか友達いなくて」


これから高校生活は二年間もあるのに、来たばかりの知らない町で友達を増やすことは、そんなにいけないこと?

それに武田さんたちとお弁当食べたら、陽菜もみんなに溶け込めると思ったから、だから嬉しかったのに。



「ハナエ、そんなに友達ほしいんだ」

「……」

「親友と思ってたの、私だけだったんだね」



なにそれ。

なんで?


他に友達がいたら、親友じゃなくなるの?

陽菜の親友は、陽菜以外に友達を作っちゃいけないの?



「もし私と親友でいたいなら、他の女子と口利かないで」


「……」



唖然とした。

もう何も言葉が出なかった。



「できないならここから出て行って」

「、…」



なにそれ。

意味、わかんない……




「……もういい」



わからなくて、イライラして、私は来たばかりの部屋を飛び出した。



わからない。

本当にわからない。


親友って、

陽菜が言う親友って、



何……?


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