やがて春が来るまでの、僕らの話。

【若瀬side】




「うっわぁぁぁぁん、」


ハナエが出て行った資料室の中で、陽菜は声を上げて泣き出した。

何度も何度も見たことのあるこの泣き方。

今まで陽菜がこうして泣くのは、カッシーに対する疑心暗鬼が暴走しての依存症からだったけど。

その的が、今度はハナエになったってことなのかな。



「、…ヤダァァ、…行っちゃ…、ウッ…やだぁぁ」



机に顔を伏せて泣き喚く陽菜には、きっと今は何を言っても聞こえない。

今までの経験で学んだことを、俺たちはただこなすだけだ。

落ち着いたら保健室に連れてって薬を飲ませる。

放課後は一緒に病院に行く。

もう何度目かな、この繰り返し。

ハナエが転校してきてからは安定してたのに。

楽しそうだったんだけどな。

でも多分、変わったってだけだったのかな。


依存先が、

カッシーから、ハナエに……


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