やがて春が来るまでの、僕らの話。
【ハナエside】
結局武田さんたちとお昼を食べることにした。
理科室には武田さんの他にクラスのバレー部の子が二人いて、快く私を受け入れてくれた。
「陽菜と仲直りできた?」
「う~ん…」
仲直りっていうよりも、余計悪化してしまった気がする。
でも他の子と仲良くするなって、いくらなんでもひどすぎるよね。
あれじゃあただの束縛だよ……
ブブブ
玉子焼きを咥えた所で、机の上のスマホが震えた。
『ハナエ、どこにいんの?大丈夫?』
「もしかして志月くんから?」
玉子焼きをもぐもぐしていると、隣に座る武田さんがニヤケ面でこっちを見てきた。
「あ、うん」
「じゃあ付き合ってるって噂、本当なんだ?」
「えーと……うん」
私が答えると、バレー部の三人組はキャッキャと楽しそうに恋愛トークへ話を変えた。
その隙に若瀬くんへ『武田さんたちと食べてるから大丈夫』って返信をして、再びお弁当をもぐもぐ食べる。
「でもさー、私たち心配してたんだよ、谷さんのこと」
既にお弁当を食べ終えている武田さんは、頬杖を着いて私を見た。
「心配?」
「ほら、陽菜と一緒にいるけど大丈夫なのかなーって」
「え?」
陽菜と一緒にいると何か問題でもあるの?
そう聞こえる武田さんの言葉に続くように、他の二人も話しだす。