やがて春が来るまでの、僕らの話。



「4日なら俺もハナエちゃんも仕事休みだし、土曜だから律くんも来れるんじゃないかな」


……3月4日。


「ごめん、4日はちょっと…」

「なんかあるの?」

「、…」


言葉に詰まっているせいか、お酒を飲んでいる南波くんからの視線が刺さる。

だけどせっかく提案してくれたのに、その日だけはどうしても行けない。


私だけじゃない、きっと律くんも……









「お疲れ様でしたー」


仕事を終えて店を出ると、待ってましたとばかりに誰かが目の前に立ちはだかった。

変質者かと思って一瞬体がビクッとしたけど、街のネオンに照らされて見えたのが南波くんだと分かって、安心するように肩の力が抜けていく。


「お疲れ様」

「南波くん、帰ってなかったの?」

「うん、待ってた」


待ってたって、私を?


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