やがて春が来るまでの、僕らの話。
「んだよ、今度は会社からだ」
「なんかやらかしたんじゃない?」
「うっせ」
ボヤくように呟いて、律くんは再び席を外した。
「次はなに飲もうかな」
「私ねぇ、杏酒ロックとかいっちゃおうかな」
「いいねぇ、ロックだねぇ」
「だよねぇ、やっぱロックだよねぇ」
「愛とロックは世界を救うよね~」
「ねー!」
届いたカマンベールコロッケを食べながら、ハナエちゃんと南波くんのよく分かんない会話を耳に流してた。
そして俺は、唐突に閃く。
「そうだ、席替えしよう!」
「席替え?」
「そう、南波くんあっち行って、ハナエちゃんこっち来て」
「そんなに俺の隣が嫌か」
「違う違う、みんなと平等に隣に座り合いたいのっ」
「あはは、座り合いたいんだ」