やがて春が来るまでの、僕らの話。
【倉田side】
「ごめん、仕事の電話長引い、」
個室に戻ってきた俺は、中の状況を見て足が止まった。
「カッシー、志月……」
予定よりも早く到着していた2人が、ハナエちゃんと再会していて。
志月の前には、泣き崩れている彼女がいる。
「律くん、これどういうこと……?」
志月が低い声で言う。
俺が描いたのと余りにもかけ離れた再会図に、ひどく大きなため息がでた。
「なに、いつからハナエと会ってたわけ?」
「全部話すから、とにかく座って、」
「なんで黙ってたんだよ!」
事情を何も知らない志月は、睨みつけるように俺を見た。
「だからそれも全部話すから、」
「意味わかんねぇ、なんなんだよマジで!」
「、……」
シン…とした個室の中で、無意識にもう1度大きなため息が出る。
「全部ちゃんと話すから、頼むから座って。ハナエちゃんも、立てる?」
「はい……」
志月はやっと言葉を聞いてくれて、俺たちはそれぞれに無言で座った。