やがて春が来るまでの、僕らの話。



「おじゃましまーす…」


学校からそんなに遠くはない一軒家、そこが柏木くんの家だった。

みんなの後を追うように、部屋がある二階へと上がっていく。


「ふー、やっと暖房にありつけたー」


帰り道に寒い寒いと連呼していた陽菜は、一目散にストーブの前にしゃがみ込む。


「寒い所で育ってても、やっぱり寒いんだ?」

「そりゃーねぇ、寒いもんはどうしたって寒いよー」

「慣れないねぇ、こればっかりは」


ボヤいた柏木くんが、陽菜の隣に座り込んで暖房の奪い合いを始めた。


「そういえば、律くんは来ないの?」


ベッドにドカッと座って、若瀬くんが尋ねる。


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