やがて春が来るまでの、僕らの話。



「あー、なんか友達と約束あるとか言ってたわ」

「そっか、相変わらず人望厚いな」


それぞれにコートを脱いで慣れた様子でくつろぐ中、私は部屋の中を見渡した。


「ゲームがいっぱいある」


テレビの横の棚には、ゲームがビッシリ並んでいる。


「ゲームオタクだからね、こいつ」

「まぁ否定はできないね」


今まで男子の部屋に縁がなかったから、物珍しくてキョロキョロしてしまう。

女子の部屋とは全然違うんだな……


「あ、雪降ってきた!」


陽菜のその声に、ゲームソフトを見ていた手を止め窓に視線を移した。


「雪!」


私は見慣れない雪にテンションが上がって、すぐに窓へと向かう。

空からはしんしんと大粒の雪が降り出していて、地面に落ちては溶けていく。

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