やがて春が来るまでの、僕らの話。
「作りたい」
「ん?」
「雪だるま、雪が積もったら私も作ってみたい…!」
興奮して、思いっきり笑っている自分がいた。
気持ち悪いくらいテンションの上がる自分がいた。
「あはは、ハナエ楽しそう!」
「ね、今度作ろうよ、すっごいおっきいのみんなで!」
「作ろう作ろう、超特大雪だるま!」
「もー、しゃーないねぇ」
「やった!」
「わーい!」
両手を上げて、陽菜と二人で手を繋いで喜び合った。
そのまま踊るみたいに体を揺らして、嬉しい気持ちを全身で表現する。
「あはは、ハナエほんと楽しそ~」
「陽菜だって楽しそうだよ」
そんな風に笑い合う中、視線を軽く流した先で、不意に若瀬くんと目が合った。
楽しい気持ちのまま声を掛けようとしたけど…
どうしてか、すぐにプイっと顔を逸らされてしまった。