やがて春が来るまでの、僕らの話。

【倉田side】




仕事が忙しくてここ1週間、全然パスタBARに来てなかった。

やっと時間ができてハナエちゃんと話の続きをしようと思い来てみたら、店の横に彼女の姿を見つけて。


肩を軽く叩いたあと、振り向いたハナエちゃんが突然泣き出したから俺はとにかく焦りだす。


「ハナエちゃ、」


ガチャ


声を掛けるのとほぼ同時に開いたのは、パスタBARのドア。

出てきたのは、バーテン姿の杉内だ。


「あ、いた、ハナエちゃんっ!」


店から出てきた杉内の視線は、俺なんて見ずにハナエちゃん目掛けて一直進。

一直線に目の前に来たかと思えば、やっぱり俺のことなんて完全に無視だ。


「ねぇ、なに、どういうこと!?」

「、」


切羽詰まったような声と共に、杉内がハナエちゃんに詰め寄っていく。


「なんでハナエちゃんが犯人にされてんの!?」



犯人?


なに、なんの話し?



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