やがて春が来るまでの、僕らの話。






「うーん、やっぱり次も接客業かなぁ」

「は?」


コーヒーを飲むテーブルで、ハナエが捲っているのはどうやら求人誌らしい。


「仕事すんの?」

「え、当たり前じゃん」

「なんで?」

「なんでって、仕事ないと困るし」

「別に家賃とかいらねぇけど」

「ダメだよ、ちゃんと払う」

「いいよ別に。一緒にいてって頼んだのは俺なんだから」

「それは関係ない。だって、」

「……」

「、…」


そこまで言って、ハナエは不自然に黙り込んだ。


「なに?」

「や、だって、…柏木くんもまだそんなにお給料もらってないだろうから」

「そうでもないよ。俺、なんでか営業の成績いいし」

「でもやっぱりダメ。ちゃんと働く」

「まぁ別にどっちでもいいけど」



“だって”


その後に出来た間は、なに?


“だって律くんと住んでるときは、ちゃんと生活費も払ってた”……ってか?


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