やがて春が来るまでの、僕らの話。



「なに、なんか用あった?」

「うん、見にきた」

「何を?」

「おめぇらを」

「なにそれ」

「いーじゃん、会いたかったの」

「うひゃひゃ、俺も俺もー!」

「あーうるせぇ」



会いたかったとか言って、心配して来てくれてるってのがわかるから。

色々と巻き込んで迷惑かけてんだろうなーって、申し訳なくなったりする。


でもそんなことを素直に言えない俺は、ほんとどうしようもねぇ人間だな……



「あと、これ」


杉内、ハナエ、俺。

それぞれへ差し出されたのは、何かのチケットだ。


「もしかしてこれ……やっぱり、個展のチケット!」

「そういややるって言ってたっけね」

「来月、1週間だけやるから来てくれたまえ」

「絶対行くし!」


面白いくらいにテンションが上がっている杉内の横で、ハナエも嬉しそうにしてる。


その横で俺は、南波くんの手が今日は汚れてないことに気づいた。

個展の製作もひと段落したってことかな。


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