やがて春が来るまでの、僕らの話。






「杉内くん、ほんとに泊まってくんだ」

「風呂場だけどね」

「ドSとドMかお前ら」

「クハハ」


まだ個展の準備が残ってるらしく、南波くんが帰る頃。

玄関で靴に足を突っ込んで、解け掛けてる靴紐を直しながら南波くんは何気なく言った。


「別に俺、心配して来たわけじゃねぇから」

「え?」

「ほんとにただ、会いたかっただけ」

「なによそれ、そんなに俺のこと好きなの?」

「はは。だって、いなくね?」

「なにが?」

「大人になってからこんな風に仲良くなれる友達、なかなかいないじゃん」

「………」

「俺、みんなと友達になれて嬉しいの。杉内くんも、きっとそうだよ」



そんな南波くんの言葉に、俺まで嬉しくなってるのは内緒。

あぁでもやっぱ、たまには素直になんねぇと、みんな愛想尽かして離れてっちゃうかもなー…って。


ガラにもないことを考えるほど、いつの間にか俺、こいつらのこと好きになってたんだな。


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