小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
そして、お披露目会が始まる。
主役である私たちは、皆が集まった後、満を持しての登場だ。
「本日は我が息子、レオの婚約者を紹介する。エバンズ伯爵令嬢リンネ殿だ」
陛下の滔々とした声とともに扉を開かれ、結婚式場で入場する新郎新婦のように少しずつ前に歩き出す。顔を上げれば、広間に集まった貴族たちが一斉にこちらに注目しているのが見渡せる。
女性たちの顔は、大体私の予想通り、この程度の令嬢とどうしてという感じの嫉妬交じりのまなざしだ。誰もがうらやむ美貌の持ち主じゃなくてごめんね、とは思うけど、私が選ばれたのには事情があるのだから許してほしい。
男性陣はとくに思うところもないのか、拍手と笑顔で迎え入れられる。
中央に向かって歩いていく途中、羨望や嫉妬、さまざまな感情が入り混じった視線を感じる。その中でも右手側から一風違った感じの視線を感じ取り、私はそちらを見た。
そこにいたのはローレンだった。燃え立つような赤毛に、胸の大きさと腰の括れが際立つデザインの、エメラルドグリーンのドレスが良く似合っている。笑っていない琥珀色の瞳は、宝石のようにきらめきながら、鋭い光を放っている。
……綺麗だな。
なんとなく見とれていると、彼女はぷいとそっぽを向いた。
常に多方面の令嬢から嫌われているので、気にはしていないけれど、ローレンには最初から親切にしているつもりなので、なぜ嫌われるのか分からない。
主役である私たちは、皆が集まった後、満を持しての登場だ。
「本日は我が息子、レオの婚約者を紹介する。エバンズ伯爵令嬢リンネ殿だ」
陛下の滔々とした声とともに扉を開かれ、結婚式場で入場する新郎新婦のように少しずつ前に歩き出す。顔を上げれば、広間に集まった貴族たちが一斉にこちらに注目しているのが見渡せる。
女性たちの顔は、大体私の予想通り、この程度の令嬢とどうしてという感じの嫉妬交じりのまなざしだ。誰もがうらやむ美貌の持ち主じゃなくてごめんね、とは思うけど、私が選ばれたのには事情があるのだから許してほしい。
男性陣はとくに思うところもないのか、拍手と笑顔で迎え入れられる。
中央に向かって歩いていく途中、羨望や嫉妬、さまざまな感情が入り混じった視線を感じる。その中でも右手側から一風違った感じの視線を感じ取り、私はそちらを見た。
そこにいたのはローレンだった。燃え立つような赤毛に、胸の大きさと腰の括れが際立つデザインの、エメラルドグリーンのドレスが良く似合っている。笑っていない琥珀色の瞳は、宝石のようにきらめきながら、鋭い光を放っている。
……綺麗だな。
なんとなく見とれていると、彼女はぷいとそっぽを向いた。
常に多方面の令嬢から嫌われているので、気にはしていないけれど、ローレンには最初から親切にしているつもりなので、なぜ嫌われるのか分からない。