小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
「え? 悪魔? 進行って……。あの呪文、女嫌いになるだけのものじゃないの?」

「は? 違うわよ。女嫌いは子供のときの一時的なものでしょ?」

 あれ? なんか話がかみ合わないな。私が思っている呪いと、ローレンの言っているものは違う?

「ローレンがいう呪いってどんなもの?」

「レオ様の左腕にあるものだよ。リンネ、見たことないんでしょう。左腕の二の腕に刺青みたいに刻まれているの」

「それは知ってるけど」

 やはり同じものを差しているのか? いやいや、分からないぞ。とりあえず続きを聞いてみよう。

「あれはね、彼の伯母のジェナ様が考え出した、血を吸収して成長する呪文なんだよ。魔法の発動時期を遅らせることができることが特徴なの。ジェナ様の狙いはね、ハルティーリア王族を滅ぼすことなの。自分たちのクーデターが失敗したとしても、召喚魔法で呼び出した悪魔がレオ様を殺してくれるようにと、計画していたわけ」

「なにそれ、怖すぎる!」

 悪魔を呼び出すなんて、半端なく危険な呪文なんじゃないか。ジェナ様って物騒すぎない?

「……ってことは、レオの胸には魔法陣が刻まれてるってこと?」

「そのはず。発動するのは卒業式だから、だいぶ進行しているんじゃないかなぁ」

 最後に見たのは、もう八年前だ。たしかに最初より文字が赤っぽくなっていたとは言っていた気がする。それから、さらに広がってるってことなの? 
 知らないよ、そんなこと、レオもクロードも教えてくれなかったじゃない。

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