世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
 サーシャがギルド会館でエルザの姿を見つけ、カウンターを飛び越えた。目頭は真っ赤な色をしていて今にも泣き出しそうな顔をしている。
「ただいま、サーシャ」
「ただいまじゃないよ、今まで何してたのよ。心配したんだから・・・」
「すまなかった。怪我をしてアリシアの所で休養していた。」
それからエルザは言葉を詰まらせながらも報告した。
「依頼は・・・し、失敗した、私以外は・・・皆、皆、死んで・・・」
これ以上言葉にすることは出来なかった。

 サーシャは優しくエルザを抱きしめた。
「・・・そう、辛かったわね、遺族の方はギルドの方から連絡するわ、だから少し休んで」
エルザは体を震わせながらも首を振った。
「いいや、私が家族の人に伝える・・・それが彼らを死地に連れていってしまった私の責務だと思う」
「違うは、エルザのせいじゃない・・・今回は私たちギルドのミスなの。あれから他のパーティーも何組か行ったのよ、でも一組も帰って来ていないのよ」
< 72 / 73 >

この作品をシェア

pagetop