溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
侑斗はホテル地下の駐車場に停めていた車に梨乃を強引に乗せ、すぐさま車を走らせた。
「俺と同じキャリアだよな。だったら十分もあればショップに着くから、さっさと済ませよう」
ホテルから大通りに出てすぐ、侑斗は梨乃の返事を聞こうともせず車を走らせる。
助手席の梨乃は、慌てて侑斗に体を向けた。
「困ります。これから用事があって、機種変更する時間はありません。あの、すぐそこの駅でおろしてください」
「用事って、どこに行くんだ?」
焦る梨乃の声に動じることなく侑斗は落ち着いた声で尋ねた。
ちょうど信号が赤に変わり、ゆっくりと車が停まった。
「急いでるならこのまま送っていく」
侑斗は梨乃に顔を向け、力強い目でじっと見つめる。
「スマホはその用事が終わってからでもいい。なんなら待ってるし」
「い、いえ、大丈夫です。スマホについてはお気になさらず。自分でちゃんとしますから」
言われたことに全て従ってしまいそうな侑斗の力強い目から逃げるように顔を背け、梨乃はうつむいた。