溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
支払いはすでに終わっているらしく、店員がにこやかに侑斗を見送っている。

「え、ここもおごってもらうわけにはいかないんだけど。あー、もう」

侑斗の背中を追いながら、梨乃はもどかしさを口にする。
ホテルでぶつかって以来、侑斗に振り回されてばかりだ。
これといって仕事での接点がないせいで、今まで侑斗のことはなにも知らなかったが、さすが白石家の人間。
行動力はかなりのものだ。

「おー、すげえ。さすが御曹司、車のセンスも抜群」
 
梨乃の横を歩いていた翔矢が、カフェの駐車場に向かって走り出した。

「白石さん、これってこの春にモデルチェンジしたんですよね。このホイールも格好いい」 

翔矢は駐車場で待つ侑斗に駆け寄ると、興奮したように車を周りをうろうろ眺め始めた。

「車が好きなのか?」

目を輝かせて車を隅々まで見ている翔矢に、侑斗は誇らしげに笑った。
そして、再び梨乃にはまったく興味のない車の話でふたりは盛り上がり、当然のように、翔矢は助手席に乗り込んだ。
梨乃もそれに流されるように後部座席におずおずと乗り込む。

< 18 / 273 >

この作品をシェア

pagetop