溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「俺が守ってやるから大丈夫だ。心配するな」

侑斗の手の大きさを背中に感じながら、梨乃は今耳にした言葉にドキリとし、そっと顔を上げた。

「侑斗さん?」

そこには、こんなときでさえ見惚れるほど整った顔。
入社以来遠目からしか見たことがなく、そしてこれからも距離が近づくことなどないだろうと思っていた男性が、梨乃を優しく見つめている。

「この状況だったらしばらく落ち着かないな。なんなら今日は俺の家に来てもいいぞ」

信じられない言葉を梨乃にぶつけてくる。
ニヤリと笑った顔からは、それが本気なのか冗談なのかわからない。
いや、きっと冗談だ、と梨乃は自分に言い聞かせる。
混乱している梨乃を落ち着かせようとしているのだろう。

「じょ、冗談はやめ――」
「冗談じゃない。それより、ひとまずここから離れよう」

侑斗は梨乃の肩を抱いたまま、人だかりの中を進んだ。

 
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