溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「そんな不安な顔をしなくても大丈夫。打撲の痛みとちょっとひどい擦り傷は残ってるが、そのうち治る」
「それは嬉しいんですけど、やっぱりおかしい……」
「ああ。それと、梨乃がいつ俺の婚約者になったかというと……三カ月前ってことにしておこうか。六月七日の梨乃の誕生日に俺がプロポーズして、婚約」
「誕生日にプロポーズって、たしかに私の憧れだけど、でも」
今年の誕生日にプロポーズされたなんて、まったく記憶にない。
侑斗が梨乃の誕生日を知っているのも驚きだ。
侑斗は梨乃の頬を手のひらでゆっくりと撫でた。
「折原、俺の婚約者として一緒に暮らしてくれ。その代わり、翔矢君の生活のサポートはもちろん予備校の費用と大学の学費も俺が用意する」
柔らかな表情ながらもどこか固い口調に、梨乃は仕事の指示を受けているように感じた。
昨夜婚約者として一緒に暮らせと言われたとき以上に混乱し、うまく言葉が出ない。
久しぶりに名字で呼ばれて距離も感じ、違和感を覚えた。
そのとき、コーヒーメーカーがカチリと音をたてた。
「それは嬉しいんですけど、やっぱりおかしい……」
「ああ。それと、梨乃がいつ俺の婚約者になったかというと……三カ月前ってことにしておこうか。六月七日の梨乃の誕生日に俺がプロポーズして、婚約」
「誕生日にプロポーズって、たしかに私の憧れだけど、でも」
今年の誕生日にプロポーズされたなんて、まったく記憶にない。
侑斗が梨乃の誕生日を知っているのも驚きだ。
侑斗は梨乃の頬を手のひらでゆっくりと撫でた。
「折原、俺の婚約者として一緒に暮らしてくれ。その代わり、翔矢君の生活のサポートはもちろん予備校の費用と大学の学費も俺が用意する」
柔らかな表情ながらもどこか固い口調に、梨乃は仕事の指示を受けているように感じた。
昨夜婚約者として一緒に暮らせと言われたとき以上に混乱し、うまく言葉が出ない。
久しぶりに名字で呼ばれて距離も感じ、違和感を覚えた。
そのとき、コーヒーメーカーがカチリと音をたてた。