ONLY YOU~過ちの授かり婚~
確かに私のお腹の中には新たな命が芽生えているけど。

この子は周囲に波紋を広げる存在。

産まれてはいけない子なのかもしれない。

でも、この子を失えば、純也さんは生きる気力を失う。

私はこの子を産むべきか迷う。

******

「気が付いたか?乃彩」

私の手を優しく握っていたのは眼鏡の奥の瞳に涙を滲ませていた純也さんだった。

「純也・・・さん!?」

「赤ちゃんは?」

「大丈夫だ。各務社長が迅速に救急車を呼んでくれたおかげで助かった」

「そう…良かった」


「一つの山は越えたけど、妊娠初期だから不安定な時期だ。
また、同じようなコトが起きるかもしれないと安静にするように医師から言われた。できれば、仕事は休んだ方がいい」

復帰した途端、仕事を休むなんて。
妊娠のコトは言えないし、どうすれば・・・

「俺の方から・・・副社長に説明するから、君は何も言うな。乃彩」

「でも・・・」


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