ONLY YOU~過ちの授かり婚~
陽が傾き始めた十七時過ぎ。
白野さんのデスクの内線が響く。

「こちら頭取室。秘書の白野です・・・」

白野さんは受付とやり取りして内線を保留にし、俺に言った。

「奥様がお見えになりました」

「そっか…そのまま通してくれ」

「承知しました」

保留にした内線の受話器を再び取ってその旨を伝えた。

――――彼女が来たのか…

二週間振りに会う彼女。

本当は会いたくて会いたくて仕方がないのに。
自分の浅ましい欲情が乃彩を遠ざけていた。

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