ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「メス」
執刀医の声は遠くに聞こえる。
おへその下から横にスーッと切られる感覚が伝わって来た。

そして、次に切り開かれたと思われるお腹の右側と左側の皮膚がグッと押え込まれ両側に開かれた感覚が伝わって来る。


「もうすぐ赤ちゃんの誕生ですからね…」

私は唯寝ているだけ。
まな板の上の鯉だった。

そして、そのままグイグイとお腹の中を探られ、先生が臍の緒がついたままの赤ちゃんを抱き上げた。

その瞬間、赤ちゃんが産声を上げた。

「おめでとうございます。大きな男の子ですよ!!」
付き添いの看護師さんが私の顔のそばに産まれた直後の赤ちゃんを見せてくれた。

円らな小さな目はまだ焦点が合っていない。でも、立派な産声を出して、もそもそとタオルケットの中で動いていた。

この子が私と純也さんの子・・・

私の瞳には涙が溢れ、深い感動に全身が包まれた。




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