ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「君達親子が必死なのは理解しているけど…俺はトップに立つ者としては公平でなくてはならない。贔屓はできないんだ」

「頭取のキモチは理解しています」
融資をしてくれたのは単なる礼。それでも、私達親子を救ってくれた頭取にはココロから感謝している。

「頭取には言葉で言い尽くせないぐらい、ココロから感謝しています」

あれからの私は頭取のコトばかり考えていた。
彼には婚約者が居て、叶わぬ片思いだけど。

徹さんとの交際は彼の告白で始まった。
彼には惹かれるモノがあったけど、頭取に感じる想いとはまた違う。
彼のプロポーズを受け、承諾し、一方的に婚約を解消された。
自分からスキになったのは頭取が初めて。
二十五歳にして訪れた初恋かも。
そう思うのは
少しでも、徹さんから婚約解消された自分のココロの傷口を小さくしたいが為の防衛策かもしれない。
処女でもなく、一夜の過ちを犯した私が初恋なんて、自分自身を嘲笑った。



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