ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「俺と付き合ってくれたら、会社の融資は続ける」

融資を続ける為の交際だった。婚約者と結婚しないと言いながらも、それは分からない。
伊集院家のおいて、彼の立場は弱いモノだと認識している。

彼の言葉に一瞬胸をときめかせた自分を浅はかに思った。
山田支店長の接待と大して変わらなかった。

頭取は素敵な人だと思ったのに。
恋愛の経験が徹さんしか居ない私はまんまと彼の外見と優しい言葉に惑わされた。

でも、山田支店長と一つ違うコトは彼をスキになってしまっているコト。
それが一番のミス。

「勿論、OKだろ?蓮見さん」

返事は決めっているかのような傲慢な物言い。

会社の融資を盾にされたら、断れない。
これは融資を目的とした愛人契約だと思わないと。
彼の母親は亡き伊集院鑑造元総理の愛人。彼は私を母親と同じ立場に立たせる気かもしれない。
拒絶は出来ない。

私は父の為に彼を受け入れないと。

「お付き合いさせていただきます」

「ありがとう」

彼は何故か私に礼を言った。
彼の態度と言葉はとても意味不明に思えた。



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