ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「明日から東南アジア出張だ。その前に君とこうしてディナーをして桜を見るコトが出来て良かった」

頭取はワインで酔ってるのか照れ臭いのかほんのりと顔に赤みがかかっていた。

「顔、紅いですね」

「ワインで酔ったのかな?」

頭取は薄ら笑いで誤魔化した。

照れ臭いなんて私の思い過ごし。
私は何を舞い上がっているんだろう。唯の愛人なのに。

彼の手管に惑わされたら、私が溺れてしまう。
「期間はどれぐらいですか?」

「一ヵ月ぐらいかな」

「い、一ヵ月!!?」
私は一週間ぐらいだと思っていたので、思わず頓狂な声を出す。
桜に見惚れていた周囲の人達の視線を浴びた。

「寂しい?」

「いえ…別に」

彼の第一印象はクールな雰囲気。
でも、時々こっちがドキドキするような言葉を紡ぐ。

このまま、彼の言葉に絡め取られそうになっている。それだけは避けたい所だけど。

「別にか・・・俺は寂しいんだけどね。折角、これから君と恋愛を楽しみたいと思ってるのにさ」

私は二番煎じのはず。
頭取は女性をときめかすのが上手だ。


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