貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「ま、皇帝は何をしても許される立場だ。それを俺が利用して何が悪い? 多少俺が好き勝手したって、国庫に傷なんてつきはしないし誰も損はしないさ。だから、似ているこの顔を俺が利用しても……」

「いえ、あなたです」

 天明の前に立ちふさがって見上げてくる紅華の意図が分からず、天明はきょとんとする。


「俺?」

「黎天明というあなたは、どれほどに似ていても決して黎晴明ではありません。もし誰も言わないのでしたら、私が言います。必要があれば仕方のないことですが、どうか、晴明陛下の影にうずもれ過ぎてしまわないでください。そうでなければ、あなた自身に失礼です」

 天明が、か、と目を見開いた。そこに思いがけずに浮かんだ怒気に紅華はとっさに、怒鳴られるかと思って息をつめる。

 けれど天明は何も言わず、紅華を見つめるだけだった。
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