貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
(天明様……?)

 多少は気に障るかもしれないと覚悟しての言葉だったが、天明の怒気は予想以上だった。けれど天明は、なぜか怒ってしまった自分自身に対して動揺しているように見えた。

 そんな二人の間に、ふわりと甘い香りが漂ってくる。


 天明は大きく息を吐くと、顔をあげて先に見えてきた庭を示した。

「見えてきたな。あそこだ」

「あ……」

 つられて視線を向けた紅華の目の前に、一面の牡丹の庭が広がった。赤、白、天明の持ってきたのと同じ桃色もある。

「なんてきれい」

 思わず紅華はつぶやいて、歩き出した天明の後ろ姿を追う。

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