貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「皇太后……いや、今は前皇太后か。その人が、牡丹が好きだったんだ」

 天明がどんな表情をしているのかは見えないが、その口調はすっかりもとに戻っていた。

「前皇太后と言われますと……天明様の祖母にあたられる方ですか?」

 天明がそれ以上を口にしないのなら、紅華ももう触れない方がいいだろう。そう思った紅華は、天明のふった話題を続ける。

「そう。祖父だった皇帝に『まるで牡丹のように美しい』と言われたことが嬉しかったらしくてな。それで様々な牡丹を植えるうちに、こんなにいっぱいになったらしい」

「美しい人だったと聞きました」

 紅華の言葉に天明は、振り向いて少し首をかしげた。
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