貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「あまり会ったことはないけれど、綺麗というか、覚えている限りは豪快な女性だったな」

「今はどちらに?」

「ずいぶん前に亡くなったよ。今は父上と同じあの墓所に眠っている」

「あの……晴明陛下や天明様のお母様方はどちらに?」

 晴明の母である皇后や、天明の母は、前皇帝の逝去と共にこの後宮を去る決まりだ。身分の低い寵姫なら尼寺へ追いやられるのが常だが、皇子を産んだ身であれば、きっと今はいずれかの宮に暮らしているに違いない。

 天明は、少し間をおいて答えた。


「俺の母は俺を産んだ時に亡くなった。晴明の母は、離宮の宮の一つに暮らしている」

「すみません」

 とたんに恐縮した紅華に、天明は笑う。
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