貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「俺は母の記憶なんてないから気にしなくてもいい。母が死んでから俺を育ててくれたのは、晴明の母親だった」

「皇太后様が?」

「ああ」

 天明は、遠い目をして言った。


「今はまだ喪中でお互い行き来するわけにはいかないけれど、喪が明けたら訪ってやるといい。きっと、喜ぶ。そういう人だ」

 皇太后のことを語る天明の顔は優しかった。先ほどの怒気など欠片も残っていない。

(この方には、まだまだ私の知らない面があるんだわ)

 紅華は、ぼんやりと天明を見上げる。




「どうした?」

 自分を見上げる紅華に気づいて、天明は不思議そうな顔をする。
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