貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「いえ」

 あわてて視線をそらした紅華の目に、遠慮がちに声をかけてくる侍女が見えた。

「あの、お話中失礼いたします。皇帝陛下」

「どうしたんだい?」

 やんわりと振り向いた顔は完璧に晴明だ。

(この変わり身の早さ)

 半分あきれて半分感心して、紅華はその横顔を見ている。



「あちらのあずまやに、お茶を用意いたしました。どうぞ、貴妃様と共にお休みください」

「気が利くね。ちょうど喉が渇いてきたところだよ。ありがとう」

 侍女は天明に微笑みかけられると、顔を真っ赤にして、いえ、とかとんでもございませんとか言いながら下がっていった。

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