貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「何を言ってるんですか?」

「やっぱり、晴明なんかやめて俺にしとけよ」

「ですから、私は皇帝の妃です。いくら皇子とはいえ、度が過ぎると皇帝に対して不敬にあたりますよ」

「まだ正式に結婚式を挙げたわけじゃないんだから、誰のものでもないだろう? お前が気にいったと言ったのは嘘じゃない。俺のものになれよ」

「そういうわけには……」 

 言い争っているうちにあずまやにたどり着いた。侍女たちの前でそれ以上口論を続けるわけにはいかず、紅華は口を閉じる。


「紅華殿、気をつけて」

 天明は、わずかの段差にすら手を添えて紅華を支えてくれる。完全に、周囲を意識した態度だった。それを見た侍女たちは、一様に笑みを浮かべる。

「さあ、こちらへ」

 そうして、紅華の椅子までひいてくれる念のいれようだ。
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