貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 紅華の記憶では、自分の部屋へ戻るには、位置的にはこの道を進んだ方向で合っているはずだった。

「この扉の向こうには離宮が一つあるんだが……」

 天明は、言いにくそうにしながら続ける。

「絶対、その宮には近づいてはいけない。どうせここは鍵がかかっているから、開けることはできないが、万が一ということもある」

「鍵が? なぜですの?」

 しばらく迷った後、天明は低い声で言った。

「その宮には、一人の罪人が閉じ込められている」

「え……」

 天明は、思いがけず真剣な表情を浮かべている。

「その罪人は、決してその宮から出ることができない。一生」

 思いがけない重い言葉に、紅華は息を飲む。

「何故、ですの?」

 天明は、ちらりとその生け垣の向こうに視線を向ける。繁る葉で、紅華のいる場所からはそちらにあるという宮は見えない。

「俺の口からは言えない。後宮の中はどこへ行ってもいい。ただ、この先だけは、絶対に行ってはだめだ」

「私が、貴妃になってもですか?」

「俺一人の判断で答えられる問題じゃないから、今は何とも言えない。ここは……」

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