貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 そう言った睡蓮の表情は、馬鹿にしているものではなかった。そのことに、ほ、とする。

 紅華は、貴族の生まれではない。大店とはいえ、しょせん庶民だ。大勢の妃の末席、と思っていたからこそ後宮に気負わずに来れたのに、これが貴妃となればそうはいかない。いずれ、きちんとした妃教育も必要となってくるだろう。

(でも、睡蓮がそう言ってくれるなら、今のところはこのままでいいのかな)
 紅華は、少し考えて立ち上がる。

「今からでもいいかしら?」

 天明が紅華を気に入ったというのは嘘ではないらしく、あれからもちょくちょくと紅華のもとにおとずれていた。怪我も思ったよりひどくはないとわかったので急いで外朝に行く必要もなくなったが、宮城には興味がある。

「外朝に行くなら、少し見てまわりたいの」

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