貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 睡蓮は、晴明のことを嫌いではないと言っていたし、その身を案じる姿は嘘でも振りでもなかった。なのになぜか晴明の前にでると、今のように硬い表情になる。たとえ全皇帝が怖い人だったとしても、晴明の優しさは睡蓮も十分しっているだろうに。

 紅華は、まだ睡蓮と晴明の間には、紅華の知らない何かがあるのではないかと漠然と思った。


「後宮での生活は不自由なく過ごしている?」

 二人で卓につくと、晴明がおっとりと聞いてきた。

 紅華はわずかに考えてから、笑んで言った。

「はい、おかげさまでつつがなくすごしております」

 先日あやうく怪我をするところだったのでつつがなく、と言えるかどうかは疑問だが、ほんわりした晴明の様子を見ているとあの出来事もまるで遠い昔の事のように思えてしまう。

(晴明様、こう見えてもああいう世界で生きているのよね)

 紅華は、あらためて晴明の背後にある大きなものを実感した。

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