貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「くそっ……俺が変わっていれば……!」

「私の休憩の時間だったんだ。いつもの饅頭だと思ったから油断した。それか、紅華殿も一緒だったから、浮かれていたのかな」

「陛下……」

 苦しいだろうに、晴明は紅華を気遣ってそう言った。天明は唇をかみしめる。

「今、給仕をしてた者を調べさせている。毒をもった奴を見つけたら……許さない」

「天明」

 晴明は、落ち着かせるために、天明の手を握った。 

「もう、大丈夫だから」

 晴明は、顔を伏せた。

 すると、扉が開いて睡蓮が入ってくる。

「陛下、こちらを」

 薬の包みを晴明に渡すと、睡蓮は水差しから湯呑みに水をそそいで晴明に渡す。だが晴明の震える手では、それを受け取ることができない。
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