貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 真っ青な顔をしていた睡蓮は、それでも倒れることなく紅華を見つめる。その目には、涙がいっぱいにたまっていた。

「睡蓮……」

「ごめんなさいっ」

 言うが早いか、身を翻して睡蓮は走り去る。


「待って!」

 ちらり、と振り返ると、男二人は固まったように呆然と立ち尽くしている。その二人を置いて、紅華は睡蓮を追いかけた。


  ☆


「睡蓮!」

 追いかけていくと睡蓮は、庭の池のほとりでたよりなく座り込んでいた。

「睡蓮、大丈夫?」

 駆け寄ると、涙で濡れた顔でぼんやりと紅華を見上げる。

「すみません……私……私は……」

「いいから。まずは、落ち着いて」

 紅華は、袖で睡蓮の頬をぬぐう。


「すみません……」

「謝ることなんて何もないわ。だからもう、泣かないで」

 細い体を抱きしめて、紅華は睡蓮の背中を何度もさすった。そうしてしばらくいると、ようやく睡蓮は落ち着いてきた。
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