貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「つとめて晴明陛下に冷たく過ごしてきたのは、必要以上に親しくならないためと……陛下に諦めてもらうため、だったのね」 

 睡蓮は、再びこくりと頷いた。紅華は、慎重に言葉を続ける。

「睡蓮……あなたも、晴明様を、愛しているのね」

 は、と顔をあげた睡蓮に、紅華は慌てて言った。

「あ、だめとかそんなんじゃなくて! いいのよ、それで。晴明様があなたを愛していて、あなたも晴明様を愛していて。それは、とても素敵な事なのよ」

 自分が言う台詞ではないことは十分承知していたが、紅華は心からその言葉を睡蓮に告げた。

「でも……」

 睡蓮の目に、また涙が浮かぶ。その体を抱きしめて、紅華は囁いた。

「辛かったでしょう。なのに、よく私に仕えてくれていたわね。ありがとう」

 抱いた細い肩が震える。

 睡蓮は、本当に紅華のことを親身になって世話をしてくれていた。

 職務とはいえ、想いあっている相手の妻の世話など、どれほどに自分を律して紅華に接していてくれていたのだろう。
< 167 / 237 >

この作品をシェア

pagetop