貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「なるほど。お前だけの証人では心もとなくとも、国母をなるかもしれない恵麗様の言葉を正面切って疑える者はいないだろう。そうして証人となった恵麗様は、私が乱心して皇太后を殺し自らも死を選んだと証言するのだな。それが事実ではないと証言した者まで、ことごとく抹殺する気であろう」

 怒気を押さえた晴明の言葉にも、張明は笑んだまま答えない。

「張明」

 低くなった晴明の声は、あくまで静かだ。

「なぜ国に余計な混乱を起こそうとする?」

「国をつぶす悪い芽は、若いうちに摘んでしまわなければなりません。それこそが、この国のためとなりましょう」

 誘われ卓の前にある長椅子に優雅に腰掛けた晴明に、張明が茶碗を渡す。その様子を皇太后は、青い顔で唇を結んだまま、じ、と見ていた。


 間を置くこともなく、晴明は透明なその液体を一気にあおった。皇太后が息を飲む。飲み干したあとの茶碗を、晴明は思い切り床に叩きつけて立ち上がった。

「これでいいだろう。皇太后と帰らせてもらう」

「は……ははは、はは……」

 張明は勝ち誇ったような笑いを浮かべた。

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