貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「帰るだと? じきに立てなくなる。これで陛下も……っ!」

 晴明が、腰の剣をすらりと抜いた。その仕草に、震えもぶれも感じられない。

「なぜ……?」

「お前が買収した女官も官吏も、全て捕縛した。私の饅頭に仕込んだ毒を含め、恵麗様に通じた業者から手に入れた毒の種類についても、すべて調べ上げてある」

「まさか、ただの白湯……?!」

 張明は、いまだ卓の上に残された茶碗に目をむけた。

「いいや。その毒に対する解毒剤を、先に飲んでいただけのこと。侮ったな、張明。私の命は、お前ごときに賭けるような軽いものではない」

 張明の鼻先に剣を突き付けた晴明の顔は、いささかのぬくもりも感じられない冷たい表情だった。それと同じ顔を、張明は過去に見たことがある。

「龍可陛下……」

 思わずつぶやいた張明に、晴明は冷たく言い放つ。


「刀のさびとなるか、毒を煽るか。慈悲でどちらか選ばせてやる」

 か、と張明が激昂する。

「どちらも断る! 私は、あなたを認めない!」

「そうか」

 言うが早いか、晴明は持っていた刀をふるった。

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