貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「が……!」

 最大にまで目を見開いた張明の首が、床に、たん、と転がる。恵麗と皇太后は、一瞬の出来事に言葉もでなかった。

 しゅ、と血のりを払うと、晴明は恵麗に体を向けた。

「ひっ……!」

 腰がぬけたらしく、恵麗は立つこともできずにがたがたと震えはじめる。

「わ、私は何も知りませぬ! すべてこの張明がやったこと! わ、私は淑妃であるぞえ?! その私に何を……!」

「同じです、恵麗様。刀か、毒か。選んでください」

「お前……!」

 恵麗は、目を見開いた。


「それが……お前の本性なのか。ぼんくらのふりして……!」

「この姿を隠さねば、あなたたちは油断してくれなかったでしょう? そして、父上と同じように私も殺されていたはずです」

 その言葉に、思わず皇太后が立ち上がった。

「まさか! 陛下は、病気ではなかったのですか?!」

「残念ながら、毒を飲まされたようですね」

「でも、典医は毒ではないと判断したのでしょう?」

「父上の遺体を検分した典医にも、張明の息がかかっていたのです」

 驚愕の目で、皇太后は恵麗を見つめた。

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