貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「お、俺は姉に言われてやっただけで……! 悪いのは姉です! どうかお助けを……!!」
男は、動かない。
「て……」
あ然としていた紅華が我に返って声をかけようとするが、その名前を呼ぶわけにはいかない。躊躇している間に、男はゆっくりと剣をさやに戻した。
「追って沙汰あるまで震えているがいい。逃げられると思うなよ」
そうして男は、紅華の手を引くと部屋を後にした。
☆
紅華の捕らえられていたのは、郊外にある李家の別宅の一つだった。恵麗に手引きされたごろつきが、仕入れの業者を装って後宮から紅華を運び出したのだ。あっさりと跡がたどれたのは、恵麗や張明が晴明を侮っていたからに他ならない。彼らは晴明を、ただのぼんくら皇帝だと思って甘く見ていたのだ。
欄悠の屋敷を出ると、かわりに衛兵たちが入っていった。屋敷の中にいたのは、何も知らない使用人たちと、衛兵代わりに雇われていた数名のごろつきだ。乱暴に押し入った天明は、ごろつきたちを組み伏せて紅華のもとにたどりついたのだ。
男は、動かない。
「て……」
あ然としていた紅華が我に返って声をかけようとするが、その名前を呼ぶわけにはいかない。躊躇している間に、男はゆっくりと剣をさやに戻した。
「追って沙汰あるまで震えているがいい。逃げられると思うなよ」
そうして男は、紅華の手を引くと部屋を後にした。
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紅華の捕らえられていたのは、郊外にある李家の別宅の一つだった。恵麗に手引きされたごろつきが、仕入れの業者を装って後宮から紅華を運び出したのだ。あっさりと跡がたどれたのは、恵麗や張明が晴明を侮っていたからに他ならない。彼らは晴明を、ただのぼんくら皇帝だと思って甘く見ていたのだ。
欄悠の屋敷を出ると、かわりに衛兵たちが入っていった。屋敷の中にいたのは、何も知らない使用人たちと、衛兵代わりに雇われていた数名のごろつきだ。乱暴に押し入った天明は、ごろつきたちを組み伏せて紅華のもとにたどりついたのだ。