貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 ふらつく紅華を支えて、天明は待っていた馬車に乗せる。握った紅華の手に視線を落とした天明は、すさまじい渋面になった。

「あいつ……せめて蹴り飛ばしてくればよかった」

 細い手首には、縛られていたあとがすりむけて真っ赤になっていた。自分でほどこうと無理やり引っ張ったせいだ。

「晴明陛下はそんなこといたしませんよ」

「俺ならする」

「それでも、欄悠を切らないでくれたのですね」

 さきほど天明が言ったように、皇帝の命を狙ったとなれば、問答無用で切り捨てられても文句は言えない。たとえ自分を裏切った男でも、紅華は、目の前で欄悠が殺される場面をみたくなどなかった。

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