貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「それは、晴明の仕事だ。あれでも、お前の元婚約者だろう? お前に恨まれるようなことは、晴明がやればいい」

 ぶっきらぼうに言った天明に、紅華は微笑む。憎まれ口をたたいてはいるが、おそらく天明に欄悠は切れなかった。それが天明の優しさだ。

「間に合わなくて、悪かった」

「いえ? 私はこの通り、無事ですよ」

「痛かっただろう」
 天明が、そっと紅華の手を包む。

「本当なら、傷一つだってつけたくなかった」
 そういう天明の方が、よほど辛そうな声をしていた。


(私、やっぱりこの人が好きだわ)

 いつからこんな想いを抱くようになったのか。紅華は、天明をまじまじを見つめた。そしてふと気づく。その頬にも腕にも、殴られたような痕やかすり傷があちこちにあることを。それを見て、さらに紅華の胸は熱くなった。

(天明様……)

 だからこそ、天明の本当の気持ちが知りたかった。
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