貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 そう思った紅華は、せまい馬車の中でなるべく天明から距離を取る。

「紅華?」

 自分に背を向けた紅華を、天明は覗き込もうとする。


「こっちこないでください」

「どうした? 気分でも悪いのか?」

「最悪です」

 それを聞いて天明の血の気がひく。

「あいつになにかされたのか? わかった。このまま医者に行こう。それまでがまんできるか?」

「できません。お医者様になど、治せません」

 拗ねたような口調に、どうも具合が悪いのは体の傷ではないらしいと気づき天明は首をひねる。


「……どうした?」

「どうもしません」

「だが……」

「私のことなど、もう放っておいてください」

 なにか気分、いや機嫌の悪そうなことはわかるが、天明にはどうしたらいいのかわからない。
< 207 / 237 >

この作品をシェア

pagetop