貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 衛兵が辿り着くまで待つ余裕がないほど紅華の身を案じていたのは、乱闘でぼろぼろになった天明の様子を見れば見当がつく。

 いっぱい食わされたことに気づいた天明は、大きく息を吐いて紅華の体に腕をまわすと抱きしめた。


「人が悪すぎるぞ、紅華……」

「意地悪な天明様には、これくらいでちょうどいいのです」

「なんでこんなことを?」

「聞きたかったのですよ。天明様の、お心が」

「まったく……さっきまで青い顔してたくせに……」

 ぶつぶつ言っていた天明は、紅華を抱きしめる腕にかなりの力を込めた。

「天明様……ちょっと、苦し……」

「紅華」

「はい?」

「このまま実家に帰れ。お前は、貴妃を辞退したと晴明には報告する」

 ひゅ、と紅華の喉がなった。
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