貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「紅華……」

「いけませんか?」

 ずいっと近づいて仰ぎ見てくる紅華に、天明が苦笑した。

「なるほど。『皇帝陛下』、の、妃か」

「いけませんか?」

「……俺には、まだ……」
 
 葛藤しながら何か言いかけた天明は、紅華から視線を離すと続けた。

「……とにかく、いったん宮城へ向かおう」

(意気地なし)

 紅華はふくれっつらになると、心の中でひとりごちた。

「天明様」

「なんだ」

「助けて下さって、ありがとうございました」

 ちらりと視線を向けた天明は、何も言わずにまた窓の外を向いてしまった。


  ☆



「紅華様あ!」

 後宮に戻ると、睡蓮が紅華に飛びついてきた。
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