貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 紅華の言葉を、晴明はなぜが驚いたように聞いていた。わずかな沈黙の後、晴明は穏やかに微笑む。

「ありがとう。ただ、まだ私と一緒に正式な墓前参りをするわけにはいかないから、天明に頼んでおく。あとでこちらに寄こすから、一緒に行ってくるといい」

「天明様、ですか?」

 先日の天明とのやり取りを思い出して、紅華はげんなりとする。そんな紅華の様子には気づかずに、晴明は力強く頷いた。

「彼なら、安心して紅華殿を任せられる」

「そうでしょうか」

「ああ。私が誰よりも信頼している男だからね」

 紅華は目を丸くする。

 晴明がそこまで言うなら、よほど二人の間には強い結びつきがあるのだろう。紅華もまだ一度しか会ったことはないが、あまり初対面の印象はよいものではなかった。もしかしてもしかしたら、ああ見えて実は有能なのかもしれないが。 

(……晴明様、騙されてない?)

 けれど、にこにこと笑顔で言う晴明に、そんなつっこみはできない。
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