貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「わかりました。では、天明様にお世話になります」

「ふふ。紅華殿は、やっぱり天明の言った通り、良い人だね」

「……おそれならが、一体何をお聞きになりましたのでしょうか」
 
 天明に会った時は、掴みかかって乱闘を起こしかけたのだ。何を聞いたとしてもあまりよい話とは思えない。
 若干ひきつった顔で聞く紅華に気づかずに、天明はにこにこと続ける。

「たいしたことじゃないし、心配しなくても悪口でもないよ」

「はあ……」

 じゃあね、と言い置いて、晴明は戻っていった。


(何を話したのかしら、あの男)

 どうやら悪いことではないらしいが、あんな醜態を見せてしまったあとでとても褒め言葉が出たとは思えない。

(悪口言われたならわかるけど)

 もんもんとする紅華は、入れ替わりに戻ってきた睡蓮が、お茶を片付けている様子を、じ、と見つめる。


 紅華のことを細やかに気遣ってくれるその様は、ただ女官長の責務を果たしているだけには見えない。紅華も周りの女官や侍女も、彼女のことを好ましく思っている。その睡蓮が晴明のことを嫌っているのなら、やはり晴明にはなにかしらの問題があるのではないだろうか。

 夫となる人の事だ。紅華は、思い切って聞いてみることにした。
< 52 / 237 >

この作品をシェア

pagetop